2021.11.10

身近雑記

第131回 バイオジェニクスは「二刀流」

今年、アメリカのプロ野球MLBロサンゼルス・エンゼルスにて、投手としても打者としても「二刀流」の選手として大活躍した大谷翔平選手のことは、皆様良くご存知かと思います。

私の年代(昭和15年生まれ)では宮本武蔵の「二天一流」が著名で、二つの物事を同時にうまく行えることで「両刀づかい」とも申します。

 

そして、腸内環境改善のための様々な健康法の中にも、この「二刀流」があることをご存知でしょうか。

 

人の健康のために腸内フローラのバランスを正常に維持する従来の方法として代表的なのは、プロバイオティクス、プレバイオティクスです。

プロバイオティクスは生きた乳酸菌を含んだ食品を摂り入れて、腸内環境を改善するものであり、プレバイオティクスは腸に棲む善玉菌のエサを補充して、その結果、健康に好影響を与えるという考えのものです。

 

しかし、プロバイオティクスはあくまでも生きた微生物が腸内に届くことが前提であり、食品として食べたり飲んだりした乳酸菌は、胃酸等の影響ですべて生きたまま腸まで届けるのが難しいという点や、腸に生きて届いたとしても、腸内で定着・増殖することがなかなか難しいという事実がありました。

 

そこで、東京大学名誉教授の光岡知足博士は、プロバイオティクスやプレバイオティクスとは別の概念として、1998年(平成10年)、腸内フローラのバランスを改善するだけにとどまらず、腸内フローラを介さず身体に直接働きかける成分を摂取する「バイオジェニクス」健康法を提唱したのです。

 

生前の光岡先生のお話によれば、プロバイオティクスはあくまでも生きた菌の働きによるもので、健康のためには、発酵ずみの食品を食べたり飲んだりすることで、腸内環境の状況に関わらず良い成分を取り入れることが大切である、とのことでした。

そして「バイオジェニクス」という新しい概念を提唱されたという経緯を、先生との対談をした際に私は聞いたことがあります。

 

光岡先生がおっしゃるように、バイオジェニクスは身体に直接働きかけると同時に腸内フローラの善玉菌を元気にする、まさに「二刀流」であると思うのです。

 

メディアの報道で「二刀流」を聞くたびに乳酸菌生産物質におもいを馳せる今日この頃であります。

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