2021.03.31

身近雑記

第124回 新型コロナ禍に学ぶ「腸内環境と免疫力」

新型コロナウイルス感染拡大で、その勢いは衰えを知りません。

切り札とされているワクチンの接種もまだまだのようです。

特効薬も無く、頼れるのは自分自身に備わっている免疫力だけと思っている今日この頃です。



さて、平常時には健康を守ってくれている免疫力について関心の低い人でも、今の状況の中、関心を高めていらっしゃるのではないでしょうか。



もともと「免疫」の語源はラテン語のimmunitus(免税・免除)と考えられ、疫病を免れるという意味で使われるようになったそうです。

ウイルスに一回感染して生き残った人は、同じ疫病には二度かからないことが分かり、ワクチンが開発されました。

そして、免疫を記憶するT細胞やB細胞といったリンパ球の発見へとつながって行きました。

そして、体の外から侵入してくる異物を排除する防御の仕組みが分かり、「自然免疫」と「獲得免疫」から成る全身免疫の姿が見えてきたのです。

そのシステムの6~7割が人の腸管にある事が「腸管免疫」として知られています。

腸は消化吸収をする他に免疫器官としても極めて重要な器官なのです。



腸内環境を正常に維持することの大事さを、つくづく感じさせられます。



皆さんの正常な腸内環境は日本人の昔からの和食の食歴にある事をご存知でしょうか。

1977年、米国で報告されたマクガバンレポートの中で「理想食」として挙げられているのが昔の日本食です。

日本には他国に比較すると昔ながらの多くの発酵食品が存在します。


味噌、醤油、漬物、納豆、酢、みりん、甘酒、かつお節、日本酒等があり、カビ(麹菌)、酵母、細菌(乳酸菌、納豆菌、酢酸菌)がかかわっています。

これら微生物により、食物中の栄養分が分解されて人間にとって有益な代謝物となり、それを知らず知らずの内に摂取していることが、腸内環境を良好に維持するのに役立っていると考えます。

和食の生活習慣で腸内の善玉菌が喜ぶだけでなく、腸から直接に有効な代謝物が吸収され、結果的にそれが免疫力の助っ人となっていると想定しています。


人口100万人あたりの新型コロナウイルス感染者数と死者数が、日本は他国に比較して極端に少ないのは、マスク、手洗い、うがいの衛生観念の高さというだけでは説明できませんが、日本人の永年の食生活により備わった免疫力の差異によるものとするなら説明が可能なのではないか、と考えています。


以上が、長年の研究の中で、微生物の発酵に目を向け続けている私の考察です。


皆様におかれましては、免疫の安定化のためには、質の高い睡眠、日中の昼寝、深い呼吸に心がけてリラックスすることが肝要です。

くれぐれもご自愛いただき、そして腸の健康にもご留意されます事をお願い申し上げます。

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