腸内細菌と乳酸菌生産物質のおはなし

はじめに・・・

このような食習慣の急激な変化に伴い、糖尿病をはじめとして生活習慣病にかかる人が増加しています。最先端医療が発達した現代では、疾病の多くについて対処療法による治療が可能になったことも確かですが、どんなに医療技術が進歩しても、完全に治すことは難しいと言われています。発症以前に自分の体は自分で守り、誰の世話にもならず長寿を過ごしたいものです。
ヒトの健康維持に深く関わっているもののひとつとして挙げられるのが「腸内細菌」です。私達は、ヒトの腸内に棲む腸内細菌の働きを知り、上手に付き合っていくことも、健康維持の重要な要素と考えています。このページでは、腸内細菌とその代表である乳酸菌からつくられる物質、『乳酸菌生産物質』について、腸内フローラに関する詳しい解説をはじめ、善玉菌や悪玉菌の話などもまじえて、おはなしシリーズとしてお伝えしてまいりたいと思います。おはなしをアップしたら、フェイスブックでお知らせいたします。
乳酸菌生産物質とは?

絹は蚕が代謝した物質。蚕が桑を食餌とし、絹を代謝してさなぎの繭を産生する様子(by Tom or Jerry ウィキメディア・コモンズ)

ヒトを取り囲む環境は、細菌であふれています。
更にヒトの住める場所は限られていますが細菌は、海底にも、上空にも、土の中にも、ありとあらゆる所に存在しています。一般に細菌類は生まれてから死滅するまでに色々な物質を体外に放出します。これを代謝と呼びます。

この生体から放出された物質を代謝物質、又は分泌物などと呼びます。代謝と言われるように何かを食べた代わりにまったく別な物質をつくりだすのです。青カビの代謝物質が、ペニシリンであることは有名です。蚕に例えてみますと、桑の葉を食べ繭を作りそこから美しいシルクが出来上がります、これもやはり代謝物質と呼べます。
ヒトを取り囲む環境と同様に、ヒトの腸内にもビフィズス菌や大腸菌など様々な菌が棲んでいます。これらを腸内細菌と呼びます。腸内細菌は、今から100年以上も前に一部の細菌学研究者により発見されました。その後、研究が進むにつれて、ヒトの健康維持に密接に関わっていることが解ってきたのです。その中で善玉菌と呼ばれる乳酸菌群がつくりだした物質の総称を、「乳酸菌生産物質」と呼んでいます。
![]() 乳酸菌生産物質の原液の元となる固形物質 |
![]() 乳酸菌生産物質の原液の元となる発酵原液 |
食品としての『乳酸菌生産物質』の開発は、ヒトの腸内細菌が代謝した物質=乳酸菌生産物質を体の外でつくり直接体内に送り込むという発想からうまれました。次の章では、腸内細菌のヒトに対する影響を見てみたいと思います。次回の更新をお楽しみに。
腸内細菌のおはなし


一般に食物は、口から入っただけでは吸収されません。胃液や胆汁(たんじゅう)・膵液(すいえき)で分解され、その栄養素のほとんどは小腸で、水分は大腸で吸収されます。つまり腸から吸収されて初めて体内に入ったことになるのです。腸は栄養素を取り入れる窓口なのです。
小腸は十二指腸・空腸・回腸からなり、全長約6~7mで内部は無数のヒダに覆われています。およそ2~4時間位で食物の消化・吸収を終えます。
大腸は盲腸から始まり直腸まで全長約1~1.5mほどです。神経細胞によって内容物の固さを自動的に判断し、排便に適した形状にします。この機能がうまく作用しないと下痢や便秘になってしまいます。こうしておよそ24時間かけ、ゆっくり便の製造と排泄作業が行なわれます。
腸内には、主に回腸から大腸にかけておよそ100種100兆個にも及ぶ腸内細菌がいるといわれており、現在では500種以上いるともいわれています。ヒトの細胞の数が全体で60兆個と言いますから、それよりはるかに上回っています。重さにして1kgほどにもなるそうです。
腸内にいる細菌は、同じ種類の菌が群生し、まるでお花畑のように腸の壁面を覆って生息しており、「腸内フローラ」(腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)と呼ばれています。

一般に腸内細菌は、その働きから三つに大別されています。
①善玉菌
ヒトの体に有用な働きをする菌
*代表的なもの:ビフィズス菌、乳酸桿菌etc.
|
②悪玉菌
腸内の中を腐らせたり有毒物質を作る菌
*代表的なもの:クロストリジウム(ウェルシュ菌など)、ブドウ球菌、ベーヨネラetc.
|
③日和見菌
善玉とも悪玉ともいえない菌で体調が崩れた時、悪玉菌としてはたらく菌
*代表的なもの:大腸菌、バクテロイデスetc.
|

・腸内フローラはヒトそれぞれ違います
人相・手相が異なっているように、腸内フローラ(菌の種類や数)も異なっています。善玉菌・悪玉菌・日和見菌の比率は、普通の健康なヒトならある程度一定で、悪玉菌より善玉菌優勢で保たれています。→菌叢(きんそう)バランスと呼びます。
・腸内はいつも陣取り合戦
棲み心地のよい腸内という限られたスペースでは、善玉菌と悪玉菌がいつも激しい生存競争を繰り広げています。そして、一方が増殖するともう一方が抑えられるというように全体の数は定まっています。様々な原因で菌叢バランスが崩れますと(=悪玉菌優勢)、腸内環境が悪化して体調も崩れてしまいます。
・共生関係
ヒト(宿主(しゅくしゅ))と腸内細菌は共生関係つまりギブ&テイクの関係にあります。ヒトは腸内細菌に食と住を与え、腸内細菌は様々な代謝物を作り出します。一般に、善玉菌は炭水化物などの糖を吸収して、乳酸・酪酸などの有機酸をつくりだし、これにより腸内を酸性にし悪玉菌の増殖を抑制します。また外敵菌の侵入を抑えたり、悪玉菌のつくりだす腐敗物質を分解・腸の蠕動(ぜんどう)運動(うんどう)を盛んにする・ビタミンB群など様々な物質をつくりだす等、ヒトの健康維持に貢献してくれます。


あかちゃんのとき・・・・
ヒトは母体にいるときは無菌状態ですが、出産と同時に・・・・
・またたく間に大腸菌などが入り込む。
・母乳栄養の新生児のお腹は、生後3~4日くらいでビフィズス菌(善玉菌の代表)に覆われる。
・離乳食の頃には、食物が入るようになり様々な菌も入り込み、そのヒト固有の腸内フローラがほぼ決まる。


・悪玉菌の代表であるウェルシュ菌などが増加する。
・老年期にはビフィズス菌が減少してしまう。

しかし、若い年齢層であっても、菌叢バランスを崩す生活をしていると老年期を待たずに様々な支障を招くことになるのです。年齢が若くても腸内フローラを悪玉菌優勢の状態にしておくことは好ましいことではありません。

悪玉菌が増える主な原因
1 食生活の乱れ・・・欧米型の食生活(高たんぱく・高脂質)
2 加齢・・・年齢を重ねる(老化)につれ、善玉菌が減少
3 ストレス・・・わずかなストレスでも善玉菌は敏感に減少しやすい
4 抗生物質、薬物の服用 ・・・菌叢バランスの乱れ
5 その他

それにより、インドール・スカトール・アンモニア・アミン・硫化水素等の有害物質が盛んにつくられます。これらの物質が腸から吸収されると、その一部が少しずつ体内に蓄積され、健康を害するリスクは徐々に高まります。
便秘になると腸内に悪玉菌のエサとなる食べ物のかすが停滞し、さらに有害物質の吸収を増幅させます。便秘にならないように常に心がけたいものです。
バランスのとれた食事と排泄を習慣づける
こと、そして過食を控えることは、
菌叢バランスを保つ大切な要素です。

健康をサポートする善玉菌のおはなし
いま、注目されるのはバイオジェニックスです

健康には腸内フローラを善玉菌優勢にすることが大切です。けれども腸内の菌叢バランスは、過食や不規則な生活・ストレスなどでたえず変動します。常に善玉菌優勢の腸内フローラに保つことはそう簡単ではありません。そこで、腸内フローラを善玉菌優勢へと応援する食品成分が近頃注目されています。
プロバイオティクスとプレバイオティクス
①プロバイオティクス
ヒトの体によい影響を与える生きた微生物(生菌)のこと
|
②プレバイオティクス
善玉菌のエサになり、善玉菌を増やして腸内環境を整える食品成分のこと
|
||
ヨーグルトや発酵食品
ヨーグルトなどに含まれる生きた善玉菌を食べて、腸内フローラを善玉菌優勢に整えることを目的としています。
|
![]() |
オリゴ糖など
善玉菌が腸内で代謝するためのエサとなるもの。ヨーグルトにオリゴ糖を入れて食べるとよいのはこの理由です。
|
![]() |
この二つの食品成分は、腸内フローラを善玉菌優勢に保ち、健康をサポートすることを目的としています。つまり善玉菌を増やしてお腹の調子を整えるということは、その代謝物質である「乳酸菌生産物質」が盛んにつくられていることでもあります。そして、その代謝物質が腸内で働・吸収され、ヒトの健康維持に貢献してくれるのです。そこで『乳酸菌生産物質』を直接体内に摂り入れようというのが、バイオジェニックスによる健康法です。
いま、世界中が注目する
バイオジェニックスとは・・・


乳酸菌生産物質の原液
腸内フローラを介さなくても多様な働きをする食品成分のこと。乳酸菌生産物質など。
※バイオジェニックスに該当する食品成分は乳酸菌生産物質のほかにも、ビタミンC・E・ベータカロチン・リコペン・ルテイン・フラボノイド・アントシアニン・カテキンなど多数あります。

乳酸菌生産物質製品群
摂取効率がいい!だから、乳酸菌生産物質
プロバイオティクスやプレバイオティクスによる健康法は、腸内フローラの善玉菌を増やし、より多くの生産物質をつくり健康を維持しようという考え方です。
しかし乳酸菌などの生きた菌を飲んでも、実際は腸に届く前に強い胃酸や胆汁でほとんど死滅してしまい、なかなか生きて腸まで届きません。また腸に到達してもそこに定着できず通過菌として排泄されてしまう運命なのです。バイオジェニックスによる健康法は、体外でつくられた乳酸菌生産物質をダイレクトに摂りますので、効率よく健康に寄与します。

1 体の外で善玉菌がつくりだした物質です。
2 胃酸や胆汁にも負けずに腸に届きます。
3 多種多様な物質が含まれ、善玉菌優勢の腸内環境を応援するだけでなく健康維持に貢献してくれます。
4 生きた菌ではありませんので保存もしやすく、いつでもお召し上がりいただけます。
健康は、なんと言ってもバランスのとれた食生活が基本です。しかし現代の食生活環境は、栄養過多であり飽食とまで言われています。毎日理想的な食事をとることは、そうたやすいことではないようです。そんな時はぜひ、乳酸菌生産物質を補ってみてください。

私たちにとっておなかの中の腸内細菌は、共に人生を歩んでいるある意味パートナーと言えるかもしれません。このパートナーとともに健康で明るい生活を送りたいと私たちは考えています。しかし残念なことに、不規則な生活や食生活・過度のストレスなど私たちの身の回りは健康を脅かす要因であふれています。そして腸内細菌のバランスも敏感にその影響を受けてしまいます。自分の健康は自分で守るほかありません。
どうぞ健康な毎日を送るために、自分の生活と自分のパートナーである腸内細菌にあらためて目を向けてみてください。
乳酸菌生産物質に関するQ&A
ここではよくあるご質問をご紹介します。
![]() |
「1」
医者から処方された薬を飲んでいますが一緒に飲んでも問題はありませんか? |
![]() |
乳酸菌生産物質は食品ですので、一般の薬の効果を下げることはありません。念のため専門医にご相談してみてください。
|
![]() |
「2」
乳酸菌(生菌)と乳酸菌生産物質の違いは? |
![]() |
乳酸菌(生菌)は文字通り生きた菌ですが、直接飲んでも胃液などの酸に影響を受け死滅してしまうか、腸まで到達しても定着できず排泄されてしまいます。一方、乳酸菌生産物質は、乳酸菌などの善玉菌がつくりだした物質ですので、胃液などに影響を受けず直接腸に届き、人のからだに貢献してくれます。
|
![]() |
「3」
共棲培養とは? |
![]() |
一般に細菌は複数の種類を同一の培地に接種すると、単独(純粋培養と言います)よりも生育が促進される場合があります。そして、植え継ぎを繰り返しても常に一定の割合で菌すべてが存在している状態を共棲培養と呼びます。詳しくは乳酸菌の共棲培養について解説したページがありますので、そちらもご参照ください。乳酸菌共棲培養とは?
|
![]() |
「4」
乳酸菌生産物質を飲んで、すぐ変化することはどんなことですか? |
![]() |
乳酸菌生産物質は医薬品ではありませんので、どの人にも同様の変化が表れる訳ではありません。しかし、最初に変化が見られるのは、便の状態だと思います。便の色や臭いは、腸内が酸性になると黄色に近づき臭いも気にならなくなります。
|
![]() |
「5」
長期間飲み続けても副作用大丈夫ですか? |
![]() |
乳酸菌生産物質はもともと人の腸内で作り出される成分ですので安心してお召し上がりいただけます。
|
![]() |
「6」
生きたビフィズス菌を飲んでいますが、乳酸菌生産物質を飲み始めたら、飲むのを止めたほうがよいですか? |
![]() |
特にお止めになる必要はございません。お腹の調子を観察してみてください。
|
![]() |
「7」
乳酸菌生産物質を最初に製造した人は誰ですか? |
![]() |
正垣一義氏です。初めて日本で乳酸菌入りヨーグルトを販売した正垣角太郎氏を父に持つ一義氏は、それまで乳酸菌の研究に携わっていましたが、大谷光瑞師(浄土真宗西本願寺第22代法主)との出会いをきっかけに従来の乳酸菌(生菌)から乳酸菌生産物質に切り替え、今日の乳酸菌生産物質の基礎を築きました。
|
![]() |
「8」
マクガバンレポートってなんですか? |
![]() |
1960年代当時の米国では、心臓病の死亡率が一位で、がんは二位でした。心臓病だけでアメリカの経済はパンクしかねないと言われる程医療費が増大していたのですが(1977年には1180億ドル―約25兆円)、そんな財政的危機を何とか打開しようということで、医療改革が進められました。その一環として、上院に「国民栄養問題アメリカ上院特別委員会」が設置され、全世界から選りすぐりの医学・栄養学者が集められ、「食事(栄養)と健康・慢性疾患の関係」について、世界的規模での調査・研究が7年間の歳月と数千万ドルの国費を投入して行なわれました。そのときに、5000ページに及ぶ膨大な報告がなされているのですが、それを「上院レポート」又は委員長ジョージ.S.マクガバンの名前をとって「マクガバンレポート」と呼ばれています。
|